緑内障について
緑内障とは
網膜で受け取った画像は信号になって視神経を通り、脳に伝達されます。上下左右に見える範囲のことを視野と呼びますが、緑内障になると視神経が障害されます。視野が欠けて見えなくなる視野欠損や、視野が狭くなる視野狭窄といった状況となります。緑内障が悪化すると、中心まで見えない部分が広がります。緑内障の確かな原因は明らかにされていませんが、家族に緑内障を発症されてる方、高い眼圧、血行が悪い、近視が強い方は緑内障になりやすいです。日本における中途失明原因の第1位は長年緑内障が占めています。失われた視野を取り戻すことはできませんので、できるだけ早い段階で発見して適切な治療を続けることが重要です。
眼圧ですが、目の中の水の量によって左右されます。目の中の水は、毛様体という部分から房水という水が滲み出て、排水溝(シュレム管)から血管に流れていきます。その排水溝の前に、線維柱帯(隅角にあるスポンジ状をした房水の流出口)という組織があります。ここの抵抗が強くなることで、目の中の水(房水)の排出が悪くなるため眼圧が上がりやすくなります。洗面所やお風呂場の排水溝に髪の毛やゴミが詰まっていると、水が流れなくなることと同じです。
緑内障の治療
まず目薬による眼圧を下げる治療が行われます。目薬には「房水の産生を減らす薬」「房水の流出を促進させる薬」「神経をまもる薬」「神経の血行をよくする薬」があり、状況によっては薬を併用することもあります。目薬でうまく悪化を抑えれない場合、それ以上の治療であるレーザー手術や外科手術が必要となります。
緑内障のレーザー手術
閉塞隅角(房水の出口が狭い)で緑内障発作を招きやすい目には、予防的にレーザーによる虹彩切開術を施行します。開放隅角(房水の出口が広い)なのにもかかわらず、目薬で悪化が止まらない場合は、線維柱帯にレーザーをあてることで眼圧を下げます。当院は最新のマイクロパルスレーザー発生機器があり、できるだけダメージを少なく眼圧を下げれる「マイクロパルスレーザー繊維柱帯形成術」を行います。点眼麻酔での日帰りで治療でき、眼帯も不要です。レーザー当日は軽い痛みが出ることがあります。
緑内障の手術
目薬やレーザー治療でも緑内障の悪化が抑えれない場合、手術が必要となリます。小さい創で目の中から繊維柱帯を切開して目の中の排水をよくする線維柱帯切開術や、白目(結膜)の下にバイパスを作成して水が流れるようにして眼圧の低下をはかる濾過手術があります。当院では、繊維柱帯切開術の中でも目の負担が少ない低侵襲緑内障手術と、最新機器のプリザーフロ マイクロシャント®︎ というチューブを用いた濾過手術を行ってます。
低侵襲緑内障手術
白内障と緑内障をお持ちの方に白内障手術と同時にすることが多いです。手術時間は5〜10分程度です。目薬麻酔での白内障手術が終わった後に、白内障手術でつくった創から特殊な器具(フックの形をしてます)を入れて、繊維柱帯を切開や掃除をして房水が流れやすします。排水溝を掃除すると排水が流れやすくなるイメージです。また、白内障手術後の目でも手術可能です。
プリザーフロ マイクロシャントシステム®︎を用いた濾過手術
シュレム管の流れが悪い場合、またがっつり眼圧を下げたい場合に行う手術です。今までの繊維柱帯切除術は手術時間もかかり、炎症や視力低下などの目の負担も多いこと、術後の治療が重要なことから、入院での手術が安全な治療でした。しかし、プリザーフロ マイクロシャントシステム®︎を使用することで、手術が短時間・合併症も少ない・術後も安全です。当院ではこちらの手術を行えるようになりました。
緑内障のレーザー治療・手術治療の費用について
費用につきまして、3割負担で虹彩切開術は約20,000円、レーザー繊維柱帯形成術は約30,000円、線維柱帯切開術は約60,000円、プリザーフロ濾過手術は約100,000円となります。